なんでもない毎日

学生のなんでもないブログ。ちょっと疲れた時のよりどころになれたら。

白が嫌い。

 「好きな色は何?」私はこの質問にうまく答えることができません。これと言って好きな色が無いから。ですが、反対に嫌いな色ならすぐに答えることができます。

 私は白が嫌いです。純潔、清廉のイメージの白ですが私はあの色がどうしようもなく嫌いなのです。

 私が白という色が嫌いになったのは、今思い出せば、幼少期のある一つの経験から来るもののような気がします。
 小さい頃から本が好きだった私は一冊の本を大切にしていました。なんの本だったかは忘れてしまいましたが雪のように真っ白なその表紙がひどく気に入っていたことを記憶しています。何度も何度もその本に触れるうちにその本のある変化に気づいたのでした。買ったばかりは太陽をよく照らしたその白がいつのまにか濁った白に変わっていたのでした。その時、私は初めて、自分が汚れていたことに気がついたのです。ただ外で遊んで汚れたままの手で本に触れただけのことだったのかもしれませんが当時の私にはその汚れが自分の内面をありありと見せつけられるようで、自分の大切なものを自分で汚したその記憶は消えない傷のように私の心に影を落とすのでした。

 それから私は白という色を、その白が美しければ美しいほど、忌避するようになるのでした。白は私の内面の愚かさ、姑息さを残酷にも鮮明に、写し出すキャンパスのような気がしてならないのです。

 人間として不完全な私は年月を経て色褪せていく白をまだ愛することができません。年月を経て移り変わる常識や世相、それに伴って刷新されていく自分が怖いのです。人間として成長し多様な意見を受け入れられるような大人になり、白という色を愛し、その白に自分の色を足せたらなと思っています。